夜と少女

おすすめ本

1992年冬、舞台は南フランスのコート・ダジュール。

クラスで最も魅力的な生徒のひとりであるヴィンカ・ロックウェルは、吹雪で閉鎖された予備校を抜け出し、秘密の情事を続けていた哲学教師と駆け落ちする。

ヴィンカにとって、”今この瞬間の愛がすべて “であった。

彼女と哲学教師は、そのまま消息不明となり、もう誰も彼女に会うことはない。

あれから25年後の2017年春、南フランスのコート・ダジュール。

ヴィンカの親友だった、小説家のトマ、政治家のマキシム、心臓外科医のファニーたちは、高校を卒業して以来口をきいていない。彼らは高校の同窓会で25年ぶりに再会する。

学生時代、トマとマキシムはヴィンカ失踪に関わる秘密を抱えたまま卒業。

その秘密は未来永劫封印されたままのはずであったが、同窓会でのあるイベントで、その秘密が明らかになることが確実になり、さらに正体不明の相手からの脅迫状が届く。

不穏で、痛々しい真実が見え始める

コート・ダジュールを舞台に、1992年12月のある数日間の出来事と、25年後の2017年春の出来事が交錯して描かれていきます。

高校の同窓会の案内を受けたトマは、その内容から過去に封印したヴィンカ失踪に関する秘密が明るみに出ることを知り、25年ぶりにマキシムに電話をかける。

秘密を隠し通す方法がないか探るため、ニューヨークからコート・ダジュールに帰ってきたトマに追い打ちをかけるように、「復讐」と書かれた脅迫状が、トマとマキシムの元に。

25年前を回顧しながら、ヴィンカ失踪について考えていくうちに、秘密を抱えていたのがトマやマキシムだけではなかったことが明らかになり、事件の真相へと近づいていきます。

作品の見どころ

 やっと自分の愛の対象を抱きしめたとき、ふたたび頭のなかの声がヴィンカに不幸な結末を迎えると囁く。だが、ヴィンカは未来のことなんかどうでもいい。愛がすべて、ほかに何も要らない。
 今この瞬間のみに意味があった。
 夜の、燃えるような有毒な誘惑。

ー 夜と少女

冒頭のヴィンカの描写に代表されるように、相関図には書ききれないほどの、愛や恋がある本作。

周りからは隠し通し2人だけの秘密として愛を育む関係性であったり、同性の相手と婚姻関係を結び養子を招き入れたり、何年も片思いを続けた末にそれが実らず命を絶つ道を選んだりと、それぞれのスタイルが長い時間スケールで描かれているのも見どころです。

個人的には、ファニーと5.6年付き合っていながらも、ファニーが過去を消化できていないことが気になり、結婚に踏み出せない恋人のセネカの発言がグッときました。

 五、六年というところかな。じつに幸せな時間を過ごしてきたし、ときにはもっと困難に思えた瞬間もあった。でも分かるかな、たとえお互い幸せと感じていたときでさえ、愉快に時を過ごしていたときでさえ、彼女はいつもきみのことを考えていた。ファニーは、もしきみといっしょなら、その幸せをもっと強く感じられるのではないか、もっと充実感があったのではないかと自問するのをやめられないんだ。

ー 夜と少女

また、一般読者にはほとんどわからないような伏線が作中に散りばめられていて、最後の最後に一気に回収するといった構成のミステリーとは対照的なのも本作の特徴かなと思います。

中盤から終盤にかけて徐々に謎が解明し、事態も進展していく展開は、終始驚きと共にあり、読書を中断するタイミングがなくなることかと思います。

それでいて読了感がいまいちかというと、そんなことはなく、あまりにも劇的な1992年12月末に思いを馳せて、ぼんやりとするのはとても心地よかったです。

皆さんもぜひ事件の真相に触れてみてください。

作者について

作者のGuillaume Musso(ギヨーム・ミュッソ)さんは、「夜と少女」の舞台と同じ、南フランスのアンティーブに1974年に生まれました。

ニース大学で商業経済学を学び、高校教師に。傍らで行っていた執筆活動ですが、2004年に発表した『Et,apre`s⋯』が驚異的な売り上げを記録し、一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たしたとのこと。

日本ではまだそこまでメジャーではないですが、2011年以降"フランスで最も売れている作家"として認知されているそうです。

実際、本書の原作がフランスで発表されたのは2018年ですが、2021年6月時点で、フランス国内累計発行部数は130万部以上という圧倒的な数字を記録しています。

作者の持ち味は、サスペンスの深さとスピーディーな展開。

気になった方はぜひ本書を手に取って、数多の衝撃を味わってみてください!

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