未婚化する日本

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 みなさんご存知のように、日本の重要なトレンドとして「少子高齢化」「人口減少」があり、これによって若い働き手が減ることで経済が一層停滞していくことが懸念されています。

 そして2020年〜2021年は、新型コロナウイルスの流行がこれに追い打ちをかける形になりました。

 出生数(生まれた子供の数)は2000年の時点で年間120万人でしたが、2021年は約80万人になることが見込まれています。(厚生労働省:出生数、合計特殊出生率の推移<https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html>)

 国全体としても、出生数の減少は重要課題として認識され、対策こそ打たれているものの未だ成果が見えない現状です。

 そんな中、独自の視点で少子化の原因を探り、根本的な課題と対策を提示しているのが、白秋社編集チームと研究者の天野馨南子さんが書かれた「未婚化する日本 -ペアーズ共同調査と統計データが示すその傾向と対策」です。

 本書では未婚化する日本の現状と原因を調査し、新しい婚活スタイルを提案する内容となっています。

 今回はその中から「時代と共に結婚に対する環境や考え方がどのように変化したか」に焦点を当てていくつかコンテンツを取り上げたいと思います。

TOPIC_1 少子高齢化対策の誤解

 一つ目の話題は、少子化対策がそもそも噛み合っていないというものです。

 少子化の原因は大きく二つに分けることができます。

  1. 既婚女性が産む赤ちゃんの数の減少
  2. 未婚者の割合の増加

 昨今は共働き家庭が増えたせいか、①に対する子育て支援に力を入れているケースが多く、②に対する対策が見過ごされがちであると著者は語っています。

 ①について、確かに初婚同士の夫婦が生涯に授かる平均的な子供の数である「完結出生児数」は、1970年の2.2人に対して2015年では1.94人とやや減少しています。

 しかし②の未婚率を1970年と2015年で比較すると、25-29歳男性で46.5%から72.5%に、25-29歳の女性では18.1%から61.3%に急増しており、変化がより大きいことがわかります。

Point
×:共働きで1カップルあたりの出生数が減った→子育て支援に力を入れよう
○:カップルの母数そのものが激減した→カップル数を増やす対策が必要

 まずはこの根本を理解した上で、なぜ②のように未婚者が増えているのかについて考えていきたいと思います。

TOPIC_2 なぜカップルの数が減っているのか?

 未婚者が増えている原因を考えるにあたって、結婚の前段であるカップル数の減少について取り上げます。

 未婚率の急増と同様に「交際相手がいない人の割合」も近年急上昇しています。

 では交際相手がいない人は、「そもそも恋人を作りたくない」のか「恋人を作りたくてもできない」のかどちらなのでしょうか?

 18-34歳の未婚者を対象に、独身でいる理由を聞いた調査では、年齢層によって異なる結果が得られました。

 18-24歳の前半グループでは、仕事や学業に打ち込みたい、まだ若すぎると言った回答が上位に上がり、高学歴化が進んだことで「まだ恋人はいらない」という姿勢が現れる結果となりました。

 一方で25-34歳の後半グループでは、適当な相手に巡り合わないというのが男女ともに2位に大差をつけて多く回答され「恋人を作りたくてもできない」という現状が現れました。

 ではなぜ適当な相手に巡り合わないのでしょうか?

 このことについて「出会い方の変化」の観点から掘り下げたいと思います。

TOPIC_2.1 出会い方の変化

 まず第一に職場恋愛についてです。

 かつては職場の中で上司や周りの先輩社員が、後輩にパートナーがいるかどうかといったフランクな話題を持ちかけて、場合によっては異性を紹介したりしていたそうですが、1990年代以降の「ハラスメント問題」意識の高まりにより、今までのように後輩の恋愛事情に世話を焼いてくれる人は激減しました。

 特に昨今はテレワークが推奨されており、社内の交流も減少しているところが多いと思われるため、この流れはより顕著になったと言えそうです。

 周りから促される形での職場恋愛が縮小していく中で、出会いの場も下記のように変遷していきました。

 マッチングアプリをはじめとするネットでの出会いは、2010年代前半ごろまでは「なんだか胡散臭くて危険」というイメージが残っていましたが、今では身分証明などの整備が進み、かなり市民権を得ているのが現状です。

 このように出会いの場が変わったことで注目したいのが、出会いのスタイルがより個人の努力を必要とする方向に変化しているということです。

 お見合いや職場の人の紹介などは、自分で相手を選ぶ必要性はあまりなく、受け身的に話が進められていきますが、合コンやマッチングアプリなどは主体的に人脈を駆使したり、調べ物をしないといけません。

 しかし実際は、異性と出会うために特に何もしていない男性が全体の3割、女性が2割(2020年)という調査結果が出ており、主体的に行動できないことで恋人がいない人が一定数いることがわかります。

 以上のようにハラスメント問題等による異性との出会い方が変化し、かつそれがより個人の努力を必要とする方向であったため、カップル数が減っているということができます。

TOPIC_2.2 男女間での結婚観のミスマッチ

 カップル数が少ない原因の二つ目として、男女間での結婚観のミスマッチについて取り上げたいと思います。

 結論としては、若いうちは女性の方が結婚・恋愛に熱心で、年齢が上がるごとに男性の方が結婚恋愛に前向きになるといった、性別・世代間での熱量のすれ違いが未婚者を増やす一因となっています。

 20代で結婚がまだ早いと思っている男性の背景として本著では、平均初婚年齢が指摘されています。

 初婚男性の平均初婚年齢は31.2歳ですが、初婚ピーク年齢は27歳となっており、高齢化による少数の高齢者の結婚に平均が影響されていることがネックになっています。

 (初婚女性の平均初婚年齢は29.6歳で、初婚ピーク年齢は26歳)

 この平均初婚年齢31.2歳という数字だけが先行してしまい、20代のうちは結婚に焦らなくても大丈夫といった誤認が広まり、いざ30歳になってパートナーを探そうと思っても、26歳前後の多くの異性はすでに結婚しており、思うように相手が見つからないという状況が発生してしまいます。

 男性が30歳になってから、初婚ピーク前の20代前半の女性を狙うのも現実的ではなく、実際データとして夫婦間の年齢差は全体の7割以上が3歳以内となっていることが明らかになっています。

 夫婦間の年齢差に関して本著では、芸能ニュースによるミスリードに警鐘を鳴らしています。

 芸能ニュースでは、ときおり40代、50代の中年男性と30代の女性という年齢差カップルが誕生し、話題を呼びます。2020年だけでも、有吉弘行さん(46歳・結婚当時以下同)と夏目三久さん(36歳)の10歳差婚、星野源さん(40歳)と新垣結衣さん(32歳)の8歳差の「逃げ恥婚」などが話題となりました。こういった芸能人カップルをみていると、いまどきの日本では「歳の差婚」も珍しくないと感じている人も多いでしょう。しかし、政府の統計データは歳の差婚はあくまでも少数派で、むしろ夫婦の年齢差自体も縮小しているという現実を示しています。歳の差婚は珍しくないどころか、むしろ減少しています。

「未婚化する日本」第三章 統計データが示す「未婚化する日本」の実態 カップルの年齢差の平均は縮退傾向

 以上のように、平均初婚年齢や芸能ニュース等に起因する、男女間・世代間での結婚観のミスマッチによってカップル数が減少していると言えます。


 私自身が25歳前後なのですが、男は30歳までは遊べると言った発言を周りでよく耳にしていました。個人的に30歳までは結婚についてまだ考えなくてもいいやと思っていたわけではないですが、本著を読んで、30歳からスタートラインに立とうとするのはかなり厳しいということを知れたのは良い教訓となりました。またその背景として初婚ピーク年齢が男性で27歳というのも感覚的には意外だったので勉強になりました。

 本著では後半にマッリングアプリや結婚支援センターの具体例が提示されています。結構突飛な例も記載されていますが一つの事例としては楽しめると思いますので気になった方は是非お手にとって読んでみてください。

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