THE LONELY CENTURY なぜ私たちは孤独なのか

おすすめ本

 日本国内で初めて緊急事態宣言が発令されてから約1年半が経過し、自粛生活もすっかり日常となりました。都内に住んでいる私の周りでは、大人数で飲み会を開くのを諦めたり、テレワーク中心の生活を1年以上継続している人たちが、今も大勢います。

 その人たちと連絡を取り合う中で、「孤独を感じる」という言葉を耳にすることが増えました。身の回りの同世代では、独身で一人暮らしをしている人が多く、その状況で孤独なのは当たり前じゃないかという気もしますが、孤独感はどのように生まれ、それはどんな悪影響があるのか、どうすれば対処できるのかということが気になったので関連書籍をいくつか読むに至りました。

 以上のような背景で、今回取り上げたいのは"THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか"(原題:THE LONELY CENTURY -Coming Together in a World that’s Pulling Apart)です。

著者について

なぜ孤独なのか

 昨今、孤独というとコロナ対策のための自粛がイメージしやすいと思いますが、新型コロナによって人々の交流が減少する前から、米国成人の61%が自分は孤独な人間だと考えていたとのことです。

 また近年の大きな変化として、デジタル化、とりわけスマートフォンの影響も考えやすいかと思います。実際、スマートフォン、特にSNSによって私たちが「周囲に目を配らなくなり、いいねやリツイートやフォロワーを求めて演技じみた振る舞いをし、思いやりのあるコミュニケーション能力を失ってきた。」と本著でも指摘されていました。

 しかし、スマートフォンとSNSは、孤独の原因の一部に過ぎず、実態は無数にあると著者は述べています。具体的に人々が孤独を感じる原因には、下記のようなものが挙げられています。

孤独だと何がまずいのか?

 孤独にはどんな悪影響があるのでしょうか?ここでは精神面と肉体面について紹介したいと思います。

精神

  • 孤独は、世界を攻撃的で、怒りに満ちた場所にする。
  • 孤独な人は、自分の殻の中に閉じこもり、人間の温かみや仲間なんて必要ないと思い込もうとする。
  • 孤独な人は、共感力(相手の視点または痛みを理解する能力) が低下する。

 具体的なところで言うと、コロナによる一時的な隔離の影響に関して、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の例が取り上げられています。

 当時隔離されていた北京の医療従事者は、その多くの隔離期間が2週間以下だったにもかかわらず、隔離されなかった医療従事者よりも、3年後に深刻な抑鬱に苦しむ可能性が高かったことが明らかになっているそうです。

 1年半以上の自粛生活(完全な隔離ではないにしろ)をしている我々からすると、たったの2週間でこのような影響が出ているという事実にはぞっとします。

肉体

 孤独は運動不足よりも身体に悪く、アルコール依存と同じくらい有害で、肥満の2倍も健康に悪影響を与えるという研究結果が本著では引用されており、タバコを1日 15 本吸うのと同じくらい有害だという統計もあるとのことです。

孤独への対処方法

 では孤独への対処法として、我々個人ができることに何があるのでしょうか。本著では「周囲の人に思いやりを持って関わる」というテーマのもと、以下のようなアクションが提示されています。

 こうやって列挙してみると、そんな些細なことかと思うかもしれませんが、これらの振る舞いが健康に良好な影響をもたらしていることを示唆する研究もいくつか紹介されています。

 ペンシルベニア州のロゼトという町では、65歳以上の男性の多くが、近くの石切場で過酷な仕事に就き、フィルターなしのタバコを吸い、ラードぎとぎとのミートボールを食べ、毎日ワインを飲んでいたにもかかわらず、心臓病の死者数が少なく、65歳以上の男性の死亡率が全国平均の半分であることが分かりました。

 研究者が原因について調べたところ、この町の住民はイタリア系が圧倒的に多く、家族のつながりが強固で、コミュニティーのサポートが充実していることが、人々の健康にプラスの影響をもたらしているという結論に至りました。

 直感的には、孤独でいるよりも煙草を吸ったり、お酒を飲んだりする方が健康に悪そうですが、このような研究結果があるというのは面白いかもしれません。


 健康というと「食事・睡眠・運動」が挙げられがちですが、「孤独」という要素がそれと同じくらい重要という内容が新鮮でした。煙草を1日に何本吸いますや、お酒を何缶飲みますといった話と違って、人がどれくらい孤独かというのは数字で表しにくいので、蔑ろにされがちなのかなとも思います。だからこそ、些細に思えることでも意識的にやっていかなくてはならないのかもしれません。

 私も一人暮らしでテレワーク中心なので、まずはカレンダーを振り返って、対面のコミュニケーションが最近どのくらいあったかを数えるところから始めて見ました。皆さんも周囲との関わりを気にするとともに、本著を手に取って、その他さまざまな対処法を取り入れていただけたらと思います。

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