LIFE SPAN -老いなき世界

おすすめ本

老化は1個の病気である。私はそう確信している。その病気は治療可能であり、私たちが生きているあいだに治せるようになると信じている。そうなれば、人間の健康に対する私たちの見方は根底からくつがえるだろう。

『LIFE SAN』 第1部 第3章 万人を蝕む三重ざる病気 より引用

「いつまでも若々しく綺麗でいたい」というのは多くの人が思い描く夢です。

これは神話などで語られている古くからの人類の夢でもあり、日本でも平安時代の「竹取物語」に不老不死の秘薬が出てきます。

不老不死というとかなり極端ですが、平均寿命が100歳近くになると言われてる現代において、70〜90歳になっても健康なまま人生を謳歌したいというのは多くの人の願いではないでしょうか。

「そうはいっても人間である以上老化は避けられないことなのだからどうしようもないじゃないか」と思っている我々に驚くべき主張を展開しているのが、ハーバード大学の遺伝学の教授であるデビッド・シンクレアさんが書かれた「LIFE SPAN -老いなき世界」です。

ニューヨーク・タイムズのベストセラーで、世界20カ国で刊行されている本書では「老化は病気である」として、老化に対して抗う術が最新の研究を多数引用して解説されています。

「老化は治療可能な病気である!」とまで言い切っている研究者は少ないようですが、アンチエイジングにおいて遺伝的要因は3割程度で、残りの7割は生活習慣が影響すると言われているので、程度の差はあれ老化に抗うことができるというのは事実なようです。

今回は最新医学で老化に抗うために何をすればいいのか?というところに焦点を当てて、具体的なアクションプランをいくつか紹介していきたいと思います。

食事

本書では「食事・運動・ライフスタイル」のそれぞれでやるべきことが書かれていますが、その中でも特に「食事」に多くのページが割かれています。

それほど重要視されている食事について

  • 何を食べるべきか?
  • どう食べるべきか?

の2つの観点から見ていきたいと思います。

ⅰ)何を食べるべきか

まずは何を食べるべきかについて、実際に健康寿命が長い地域に住む人々の食生活を研究した結果をまとめると以下のようになります。

結論
野菜や豆類や全粒の穀物を多く摂り、肉や乳製品や砂糖を控える

少し医学的な部分に突っ込むと、動物性タンパク質は赤身肉を中心に、心血管系疾患による死亡率と癌の発症率を高めることが明らかになっています。

私たちが動物性タンパク質の代わりにもっと植物性タンパク質を摂れば、全死因死亡率が著しく下がることも複数の研究によって示されているとのことです。

植物性タンパク質を多く含む食品として、本書では豆類・ブロッコリー・そば・アボカド ・バナナなどが紹介されています。

ただ、ここで「じゃあ今日から牛肉と豚肉を食べるのはやめてブロッコリー生活を始めよう!」とはなかなかできないのが辛いところです。

ステーキやしゃぶしゃぶが美味しいのは勿論のこと、カツ丼や生姜焼きなど既に生活になくてはならない存在になっているメニューも多いのではないでしょうか?

これほどまでに我々が牛肉や豚肉をやめれない理由はシンプルに「タンパク質を摂ると満足感が得られるから」です。

なのでまずは牛肉や豚肉を食べる回数を今よりも減らして、比較的良質と言われている鶏肉や魚を食べるように意識すること。

慣れてきたら、鶏肉や魚を減らして豆類や野菜の割合を増やすことを意識していくのが現実的なのかなと思います。

私も友人との外食では気にせず牛肉も豚肉も食べますが、ひとりで食事をするときは一切食べないと決めています(魚と鶏肉は1日1食弱くらい食べます)。

これを始めてから1年半くらい経ちますが、こうやってルールを決めておけば意外と無理なく継続できているので試しにやってみてもいいかもしれません。

ⅱ)どう食べるべきか

ここまで牛肉や豚肉、鶏肉、魚などの動物性タンパク質を食べる量を減らして、野菜や豆類を中心に植物性タンパク質をたくさん食べようという話をしてきました。

次に注目するのは食べる量や頻度についてです。

こちらも最初に結論を述べてしまうと以下のようになります。

★ 結論
カロリー制限もしくは間接的断食を行う

長く健康を保ち、寿命を最大限に伸ばすために、いますぐに実行できて確実なのは食事の量や回数を減らすことであると著者は強く主張しています。

食事の量や回数を減らすことで、体重や血圧、コレステロール値が下がるのは勿論のこと、老化のペースが落ち、寿命が伸びることが21世紀の研究で明らかとなっています。

しかしながら、それとは逆行する形で肥満や過体重が世界中で急速に増えています。

世界肥満連合(こんなのあるんですね..)によると、肥満とされる人は1975年からほぼ3倍に増えており、2016年の時点で、日本で肥満とされる「BMIが25以上30未満の成人」の数は、世界でおよそ20億人に上ると言われています。

(世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に|https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2021/009836.php

ですがこちらも「じゃあ明日から食事の量を半分にしよう!」とは簡単にできないのが辛いところです。著者自身もカロリー制限は全く楽しくないと本書の中で述べています。

方法としては下記の2種類があるので自分に合った方を試してみることが提案されています。

  • カロリー制限(食事の量を減らす)
  • 間接的な断食(食事の回数を減らす)

著者自身も仕事の忙しさにかまかけて、昼食を抜くことが多いと述べていました。

私も少し食べると食欲がさらに湧いてきてしまうタイプなので、定期的に朝食を抜いたりしています。

既におやつ込みで一日3食以上食べている人は、間食を減らすところから始めなくてはいけないので人間の意志の弱さを思うと中々気が重いですが、以前「実践行動経済学」という本で紹介したように、小さな食器を使うことや、ながら食いをしないといった、無意識のうちに自分をあるべき姿に誘導するテクニックを使うのもいいかもしれません。

運動

食事の次は運動についてです。

アメリカ疾病対策センターの協力のもと、2017年に発表されたある研究では、よく運動をする(1日最低30分のジョギングを週に5日行なうのに相当)人は、座りがちな生活をする人よりも生物学的な老化が9年遅くなると推定されています。

米国心臓病学会が2014年に発表した研究によれば、週に約7km走るだけでも心臓発作で命を落とすリスクが 45% 減り、全死因死亡率が 30% 下がることが示されているとのことです。

「好き好んで週に7kmも走らないよ!」という声が聞こえてきそうですが、私自身もテレワークが主体となり家に篭もりがちなことも相まって、冬の寒い中や夏の炎天下の中、走るためだけに外に出る気にはならない派でした。

ただここで朗報なのが、健康を増進する遺伝子を一番多く活性化したのは「高強度インターバルトレーニング (HIIT)」だったという事実です。

HIITとは「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法のことです。

HIITは20秒間の運動と10秒間の休憩を8回繰り返せば完了するため、トータルで5分に満たないというメリットがあります。

やり方はYoutubeなどでわかりやすく解説されているので、下記動画などを参考にできそうなものを試してみてください。

【HIITトレーニング】5分で出来る初心者向けの脂肪を燃やすトレーニング

ライフスタイル

食事制限と運動が習慣的にできていれば、それだけで寿命は長くなると述べられていますが、他にもまだできることはあると著者は主張しています。

ⅰ)寒さに身を晒す

長寿になるための遺伝子を活性化させる方法の一つとして、快適とは言えない温度(特に低い方)に身を晒すことが挙げられます。

これは厳しい寒さにさらされた時などに、体が安定した状態を求めようとし、呼吸のパターンや心拍数などを変化させることで、断食の時のような効果が得られるからだと言います。

本著では「冬にTシャツ1枚で、ボストンのような街(冬の平均最高気温7℃未満)を早足で歩けばいい」と書かれていますが、皆がそう簡単にできることではない気がするので、サウナの水風呂やHIIT時に窓を開けて冷たい空気を室内に入れるなどが現実的なのかなと思いました。

ⅱ)有害な化学物質を避ける

たいていの先進国では、住民が有害な化学物質に浸っているも同然になっていると本著では警鐘が鳴らされています。

とくに、人や車の数が多い都市部では、ただ息を吸い込むだけで DNAを傷つけるには十分であり、飲み物のボトルやテイクアウト用容器のようなプラスチックには、 有害な化学物質が含まれていることが多く注意が必要です。

「空気の良い郊外へ引っ越す」は難しいですが、「ペットボトル飲料を避ける」程度なら今日からでもできることです。

特にプラスチックに関しては、電子レンジで加熱すると有害物質が多く放出されるので、コンビニ弁当を避けたりといった工夫も有効かもしれません。

これを読んで私がやったこともまさにペットボトル飲料を避けることで、前まではアイスコーヒーなどを大型のペットボトルで買っていたのですが、豆から引いて自作するようになりました。

手間ではあるのですが、その分おいしいものが飲めたりとメリットもあるのでここは各々工夫できるところかなと思います。

おわりに

本書が発売された2020年9月あたりは、私自身健康本にはまっていて、本書も食い気味に買って読んだ一冊でした。

当時読み終えて、早速牛肉・豚肉抜きで生活してみたところ、料理を工夫すれば無理ではないなと思ったところから今日まで、それらをほとんど食べない生活が続いています。

常識的には「流石に無理だろ」と思いましたが、やってみると自分にとってそれらが本当に大切なのか、みんなが食べているしお店に並んでいるから食べているのか、を見つめ直す機会にもなると思うので、試してみる価値はあるのかなと感じました。

また本書の中では、意外にも社会的な話(平均寿命が延びた世界がどうなるのかなど)も豊富にあり、断食などを行う際のモチベーションにもなると思います。

本著に興味を持ってくださった方いましたら是非ご一読ください!

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