ホモ・デウス

おすすめ本

前から気になっていたものの、ページ数が多いのと、内容が難しそうなので読めずにいた、世界的なベストセラーであるユヴァル・ノア・ハラリさんの3作品

  • サピエンス全史
  • ホモ・デウス
  • 21LESSONS

を遂に読むことにしました!

それぞれ過去・未来・現在についての本ということで迷いましたが、サピエンス全史だけ解説動画がたくさんあったので、それらが少なめな2作品目『ホモ・デウス』を選びました。

予想通り、内容は難しいというか壮大でしたが、非常に分かりやすく解説されていて、読者目線の疑問も丁寧に拾ってくれていたので、ページ数の多さも気にならずとても楽しい読書体験でした!

本書のテーマ
「飢餓・疫病・戦争を克服した人類が、この先すべきこと」

未来がどうなるのかは誰にも分かりませんが、少なくとも現在の延長線上としての未来はやってこないだろうと指摘されています。

この"現在の延長"というのが、人間の自由な意思が一番大事である!という現代の考え方で、それに代わるものが"アルゴリズム"になるのではないか?という内容です。

🔎 人類を苦しめてきた事

本書『ホモ・デウス』は、歴史上人類をずっと苦しめてきた「飢餓・疫病・戦争」がようやく抑え込まれてきた!やったね!というところからスタートします。

ゴールとしては人類の未来を考察する事ですが、その導入として、人類がこれらの災難をどのようにして抑え込んできたのか?という部分から解説してくれています。

そしてその答えを簡潔に述べてしまうと、以下のようになります。

人類が「飢餓・疫病・戦争」を克服できた理由
従来の宗教に代わる「科学」と「人間至上主義」を手に入れて、経済成長に成功したから

そもそも人間が何か行動を起こす時に必要なものとして2つの要素があります。

倫理的な判断 + 事実に関する言明 = 実際の行動指針

20世紀以降生まれの私たちはあまり意識しないと思いますが、人類の長い歴史の中で見ると、倫理的な判断と事実に関する言明は、科学の発展によって大きな変化を遂げました。

近代以前の宗教は、倫理的な判断も事実に関する言明も聖書が教えてくれました。

一方で、現代科学が発展すると、事実に関する言明を科学が教えてくれるようになります。

ここでポイントなのは、科学それ自体は、倫理的な判断を教えてくれないという点です。

核の技術自体は科学(事実に関する言明)ですが、それを発電として使うべきか、核兵器として使うべきかを教えてくれるわけではありません。

しかし、事実に関する言明について、科学によって聖書が否定されているので、倫理的な判断として聖書に頼ることもできなくなってしまいました。

それで台頭した考え方が人間至上主義(神ではなく人間が善いと思うことが善い)です!

🏆 人間至上主義とは?

人間至上主義の基本となる考え方は、神が善いと言っていることではなく、私たち人間が善いと思うことが善い、ですが大雑把に3つのタイプに分けることができます。

  • 自由主義的な人間至上主義
  • 社会主義的な人間至上主義
  • 進化論的な人間至上主義

1つ目の自由主義的な人間至上主義は、アメリカやイギリス(や日本)に代表されるようなスタイルで、一人ひとりの意見こそが尊重されるべきだという立場をとっています。

2つ目の社会主義的な人間至上主義は、ソ連や中国に代表されるようなスタイルで、個人というよりは党の代表の意見こそが尊重されるべきだという立場をとっています。

3つ目の進化論的な人間至上主義は、ナチスに代表されるようなスタイルで、優秀な一部の人間(人種や性別など)の意見こそが尊重されるべきだとうい立場をとっています。

それぞれの善し悪しは色々あるかと思いますが、歴史を振り返ると、結果として1つ目の自由主義的な人間至上主義が生き残る結果となりました。

その理由としては、産業革命以降の徴兵制度や工場での大量生産における、とにかく多くの労働者を投入してマンパワーで成果を出す!という方針とマッチしていたことが挙げられると言います。

マンパワーに頼るということは、どれだけたくさんの人を集められるかという量の問題と、個々の労働者がどれほど良いパフォーマンスを発揮できるかという質の問題の2つが絡んできます。

自由主義的な人間至上主義は、他の人間至上主義よりも個人の権利が重視されていたため、労働者の自己肯定感が高まり、労働における生産性が向上したということです。

💡 人類が新たに取り組むべき事

人類は自由主義的な人間至上主義と科学の発展を武器に、歴史の大半において人々を苦しめる課題であった「飢餓・疫病・戦争」を考えられないほどの短期間で抑え込んできました。

ではこの先の人類は、何を目標とするのでしょうか?

本書では、この先人類が新たに取り組むべきこととして以下の3つが挙げられています。

  • 不死の実現
  • 幸福の追求
  • 神性の獲得

これらは並列ではなく、不死の実現と幸福の追求の先に、神性の獲得が待っているという形になっています。

神性の獲得と聞くとフワッとしていてイメージしにくいですが、ここでは「個人の体力や外見、知恵を自在にコントロールできる状態」という意味で使われています。

「飢餓・疫病・戦争」を克服するときとの大きな違いとしては、それらが便利な道具を作ることによってなんとかなってきた(農業用機械や抗生物質、核兵器)のに対して、「不死・幸福」を手に入れるためには、自分の体と心を作り直す必要がある(肉体と心の制御)という点です。

つまり人間は、道具を作って生活を便利にする過程から、人そのものを(不死と幸福をコントロールできる)神へとアップグレードすることに取り組み始めたと言えます。

🤔 人間至上主義への疑問

ここで問題となってくるのは、「不死・幸福・神性」を手に入れるために、従来の科学と人間至上主義を相変わらず利用できるのか?という点です。

そもそも人間至上主義は「人間には自由な意思が確かに存在する!」という前提に立っています。

しかしながら本書では、実際の人間は自分の欲望を自由に選ぶことはできず、自由意思なんてものは存在しない!と指摘しています。

その根拠として、脳に電気信号を送ることで、欲望や思考をコントロールできたという研究結果が、近年報告され始めていることが挙げられます。

より身近な例で言えば、私たちは過去の自分の経験を客観的に見つめて、平等に扱うことはできず、特に印象的な経験や、最近の経験だけを過大評価してしまうことが明らかになっています。

人間に自由意思がないと何が問題なの?という疑問が出てくるかもしれませんが、人間に自由意思がない(自分の欲望をコントロールできない)とアルゴリズムの方が正くて適切な判断を下せることになります。

📱 アルゴリズムが判断する世界

アルゴリズムが私たち以上に、私たちのことを理解していて、適切な判断が下せるとはどのような世界なのでしょうか?

本書ではパートナー選びの具体例が取り上げられており、ちょっと面白かったので引用します。

アルゴリズムが本当に正しい(私たちの幸福につながる)判断を下してくれるとしたら、それは歓迎すべきことなのでしょうか?

これに関しては各々色々な感想があると思いますが、アルゴリズムの支配する世界の脅威も考える必要がありそうです。

本書では、これらの脅威を指摘した上で、アルゴリズムがその権力を強める未来の到来を予測しています。

そしてその未来に対して、我々はどう立ち向かうのかを一人ひとりが考える必要があるという問いを投げかける形で終わっています。

感想

とにかくまずは面白かったです!

未来のことを書いてあるのだけれど、部分的にはすでに現代の生活にも当てはまることが書いてあったりして、少しゾッとしました。

特に印象的だったのは、アルゴリズムが人間の感情よりも適切な判断をできるようになったり、そこまで行かなくともテクノロジーが我々の生活を限りなく豊かにしてくれたとしても、私たちは何かをせずにはいられないという部分です。

その筆頭候補として薬物とゲームが紹介されていましたが、まさにそれは以前紹介した「男子劣化社会」という本の文脈で語られていたことだし、腑に落ちた思いです。

そう思うと、アルゴリズムが支配する世界で私たちは幸せな人生を送れるのだろうか?という疑問が湧いてきてしまいます、、

自分で判断したい(した気になりたい)か、アルゴリズムに委ねるかを考えてみると、大事なのはどの手段で下した選択にせよ、自分の幸福度が高い方が良いという気持ちになります。

そうなるとアルゴリズムでいい気もするのだけれど、自分で判断した気になるプロセスに幸福を感じたり、そもそもアルゴリズムをいいと思っているかどうかで、幸福の在り方も変わってくるような気がするのでとても悩ましいです、、

思うところは多いですが、読了後の人生で気をつけたいのは、アルゴリズムの良し悪しではなく、ポスト人間至上主義としてアルゴリズムが支配する世界が台頭したときに、社会はどのように応答して、その中で自身の幸福度を高めるための行動は何かを考えることなんだなと感じました。

その答えが次の本「21LESSONS」で書かれていると噂の瞑想なのでしょうか?

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