【図解】税金と控除 〜所得税編

社会制度

 社会人になってから、お金の勉強をちょこちょこしていたのですが、そこで度々出てくる「〇〇控除」がイマイチ理解できていませんでした。そこで今回は、サラリーマン目線で所得税に関する控除がどのように働いているのかを図解しました。

 この後示すように、税制度自体がとても複雑でツギハギのような制度になっています。なので、多くのサラリーマンにとっては当てはまらないであろうタイプの「所得」や「控除」については、割愛した、個人的まとめのようなものになっています。

 サラリーマンは個人事業主と異なり、活用できる控除も少なく、控除を知ったからといって家計が劇的に改善するわけではありませんが、国がどんな人から税金を多くとり、どんな人に税制上の優遇措置を与えているのかを理解すると、今後の人生の指針にはなるかもしれません。

控除とは?

 そもそも「控除」とは?についてですが以下の通りです。

控除
「一定の金額を差し引く」という意味。税金は、収入全体に対してかかるのではなく、控除額を引いた「課税される所得」に対して税金がかかる。

 つまり、控除がたくさん利用できれば、同じ収入であっても税金が少なくて済むことになります。会社などでよく耳にする「経費」も控除の一種です。

 では次に、税金にはどのような種類があるのかという事を確認したいと思います。今回は数ある税金の中から控除との関連性が深い「所得税」について取り上げます。これは「直接税」×「国税」の税金で、そのほかにも次に示すような税金があります。

 上記の他にも「たばこ税」や「自動車税」、「関税」など多種多様な税金が存在します。悪いことではないですが、種類が増えると構造が複雑になって、理解するのが日に日に難しくなっていくなと思ってしまいます。

 では、今回注目する「所得税」はどのようにして求められるのでしょうか。次の図で、所得税の計算の流れを示しますが、いきなりぐったりしてしまうような分かりにくい仕様になっています。

 似たような名称が多いですね、、それだけでも厄介ですが「控除」が<STEP1><STEP3><STEP5>の3つのタイミングで適用されているのが、個人的に困惑していたところだったように思います。

 さらに<STEP1>の各取得は全10種、<STEP3>の所得控除は全14種などなど、とにかく種類が多いです。ですが中には、これに当てはまる人って国民の数%もいないんじゃと思うようなものもありますので、自分に関係のありそうなもの以外は存在を知っておく程度でいいのかなと思います。

 それでは所得税の求め方を各ステップに沿って見ていきます。

STEP1. 各所得金額を計算

 各所得は全部で10種類あるのですが、今回はサラリーマンである自分に影響がありそうな4種に絞ってみます(図中赤と青の部分)。この4種の所得には、それぞれ固有の控除が存在します。ではそれぞれ見ていきます。

 ① 給与所得

 給与所得に関しては、分かりやすい累進課税制(収入が多い人ほど税金が多くなる)となっています。例えば、給与収入が年500万円の人なら、以下のように求められます。

給与所得 = 500万 ー( 500万 × 0.244万)= 356

 図中グラフの「控除額」の線を見てもわかるように、高収入になるほど控除額が激減していきます。そして気をつけたいのが、この傾向が年々強まっているということです。

 今回示した給与所得控除は令和2年以降に適用されるものですが、平成29年〜令和元年適用分、平成28年適用分、平成25年〜平成27年適用分と、過去8年の間に何度も控除額が改変されています。年間の給与所得が1500万円の人を例に取ってみると、次のように控除額が変化しています。

控除額 : 245万 → 230万 → 220万 → 195

 このように、過去8年で50万円も控除額が減額しています。今後も高収入サラリーマンへの課税が、益々厳しくなっていくことが予想されるでしょう。給与所得だけ見ると、そもそもの収入が多いのでこの程度の控除額の減額は誤差にも見えますが、所得が多い人は<STEP4>での所得税率も大きくなるので、相乗効果で納める税金は増えていく、ということには注意したいです。

 ② 配当所得

 株や投資信託の配当金による配当収入は、課税方法を選択でき、やや複雑な構造となっています。

 図中の「配当控除」と「損益通算」に関してはそれぞれ後続のステップで適応されます(配当控除は<STEP5>の税額控除、損益通算は<STEP2>)。なのでここでは、課税方式が自分で選べて、それぞれどんなタイプなのかということをざっくり眺めていただけたらと思います。

 配当控除に関しては、このように課税方式の選択があったり、国内株式か海外株式かで仕様が変わったりと輪をかけて複雑なので、また別途まとめたいと思っています。

 ③ 雑所得

 雑所得はその名の通り、その他の所得といった扱いですが、概ね年金による収入と思っていただけたらと思います。

 こちらは年金を受け取る年齢によって、控除額が変化していきます。例えば、70歳で年金による年間収入が360万円の場合、以下のように求められます。

雑所得 = 360万 ー( 360万 × 0.2537.5万)= 232.5

 ④ 退職所得

 退職所得は上述の3つの所得とはやや異なり、控除額が収入ではなく勤続年数によって決まります。

 例えば、勤続年数が30年で、退職金が2000万円だとすると、以下のように求められます。

退職所得[ 2000– { 800万 +(30 – 20) × 70} ]× 0.5250

 20年以上勤続すると勤続年数ごとの控除額が40万から70万と結構増えるのが印象的です。最近は終身雇用の崩壊で転職が当たり前になるなんて言われていますが、この退職所得の控除制度がそれに伴いどのように変化するのかも注目ポイントかもしれません。

 控除額を引いた後に2分の1してくれるのも、ありがたいポイントとなっています。退職金にたくさん課税するのは酷ということなのでしょうか、、

STEP2. 課税標準

 ここでは<STEP1>で求めた各種所得を合算します。このとき「退職所得」「山林所得」「譲渡所得(一部)」は合算せず個別課税対象として扱います。

 例えば、Aさん( 給与所得=350万円・配当所得=100万円(総合課税を選択)・退職所得=250万円)の場合は

課税標準 = 350万円 + 100万円 = 450万円

となります。 

STEP3. 課税所得金額

 次に<STEP2>で求めた課税標準から所得控除を差し引き、課税所得金額を求めます。所得控除には人的控除と物的控除がそれぞれ7種ずつあります。

 全部で14種類と多いですが、ピンポイントなものも多いです。また、社会保険料控除は自動で控除されたり、寄附金控除の代表格である「ふるさと納税」でも「ワンストップ特例制度」を利用することで自動で控除されたりと、特に気にしなくて良いものもあります。

 よく耳にするポイントとしては「扶養控除」や「配偶者控除」で、これは被扶養者や配偶者の所得に応じて控除額が変わるのでやや注意が必要です。

 扶養控除は図の通り、被扶養者の年齢によって控除額が変化します。初めて見た時は16歳以下に扶養控除が適用されないことに驚きましたが、代替として「子ども手当」が機能しているそうです。

 扶養控除は、納税者の収入金額にかかわらず定額の控除を受けられる点が特徴かと思います。

 まとめて図にしてしまいましたが、配偶者の所得が48万円以下の場合に受けられるのが「配偶者控除」で、特徴としては配偶者が70際以上だった場合に控除額が増加します。

 配偶者の所得が48万円を超える場合に受けられるのが「配偶者特別控除」で、配偶者の所得が133万円を超えるまで、図の通りに控除されます。(なんでこれでもかと範囲が刻んであるのでしょうか、、)

 ここでも納税者の合計所得金額によって控除額が大きく変動しています。合計所得金額が900万円以上の時点でかなりの高所得者なので多くの人には関係が薄いかもしれません。ですが、平成29年以前は、この納税者の合計所得金額による制約がなく、合計所得金額が1000万円以上の人も配偶者特別控除を使用できていたので、高収入の人からどんどん税金を取ろうという傾向が年々加速しているのは注目しておきたいポイントかと思います。

STEP4. 所得税額

 いよいよ課税所得金額(=課税される所得金額)に所得税率を掛けて、所得税を計算します。

 グラフで見ると、課税所得金額が330万円以上で税率が20%になると、所得税が一気に増えるといった印象でしょうか。一方で、課税所得金額が695〜900万円では税率が23%と、他の金額幅と比べて低めに設定されています。

 所得税率をベースに年収をコントロールするというのは本末転倒な気がしてしまいますが、現行の税制上では、課税所得金額を330万円以下に抑えるか(サラリーマン年収で言うと600万円前後)、695〜900万円まで伸ばしてしまう(サラリーマン年収で言うとざっくり1000〜1300万円)のが有利と言えるかもしれません。

STEP5. 申告税額

 最後に<STEP4>で求めた所得税額から「税額控除」を差し引いて、ファイナルアンサーである申告税額を計算します。「税額控除」も数多くありますが、ここでは比較的身近な、住宅ローン控除と配当控除について取り上げます。

 住宅ローン控除には初年度のみ確定申告を行う必要があります。この確定申告を行う人がどのような人かも追ってまとめていきたいと思います。

感想

 私は独身のサラリーマン(持ち家無し)なので、いざ控除について整理してみると、自分が使える控除がほとんどないんだなというのが率直な感想です。そうでなくとも、サラリーマンは使える控除がとても少ないことが目立ちました。そんな中で高収入なサラリーマンから、益々多くの税金を取ろうとする法改正が頻繁に行われている現実を見ると、給与所得以外の収入を持つことの強みを再確認した気になりました。


参考文献

みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2020-2021年 (みんなが欲しかった! シリーズ)

・国税庁HP(https://www.nta.go.jp/)

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