バイオハック -肉体・精神・頭脳のパフォーマンスを最適化する技術45

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 バイオハックとは以下のように定義されています。
「自分自身が健康づくりの主体となり、科学的知見に基づく様々な方法論を自ら実践、検証しながら、肉体・精神・頭脳のパフォーマンスの最適化を目指すこと」
 このように聞くと、意識の高いビジネスマンのものに聞こえてしまいますが、以下のような選択肢を示された場合は身近に捉えることができるかも知れません。

選択肢
・何らかの病気にかかって、多額の医療費を払いながら生きていく。
・なのに一向に健康にはなれず、パフォーマンスもQOL(クオリティーオブライフ)も低い、心身ともに不自由な生活を強いられて将来を生きる。

選択肢
・今から少しの「意識」と「お金」を健康づくりに注ぎ、健康に関する自分なりのベストアンサーを確立していく。
・その結果、病気とは無縁で医療は少なく済み、心身ともに健康なエネルギーに満ち溢れたハイパフォーマンスかつハイクオリティーオブライフな将来を生きる。

 このように示されると、選択肢2を選ぶ方が多いと思います。でも実際、多くの人が選択肢1の道を歩んでしまっているのではないでしょうか。そんな状況を打開するためのアプローチが示されているのが今回紹介する「バイオハック -肉体・精神・頭脳のパフォーマンスを最適化する技術45」(著・井口昇)です。

 著者はビジネスマンとして成功を収めたものの、慢性的な体調不良に悩まされていたそうです。そんな時に米国の経営者の健康意識の高さを目の当たりにし、ハイパフォーマンスを保つ上での健康の重要性を再確認し、バイオハックを研究・実践してきたと言います。

 平均寿命が伸び、多くの人が100歳以上生きると予想されている時代ですが、QOLを左右するのは実年齢よりも体の健康度であり、今後、50歳・60歳・70歳と高齢になるにつれてますます、健康度によるQOLの差が個々人の間で歴然としてくることが予想されています。

 今回は、健康で豊かな長寿ライフを生きるための方法として、以下の順に本著の内容を紹介します。

 1. ロードマップ
 2. 実践のポイント
 3. 具体的な45のバイオハック

 著者も強調していますが、完璧にこなそうと思うのではなく、できることから取り入れ「自分に合っていると思うものを生活の中に習慣として取り入れてみよう」といった気持ちで見ていただけたらと思います。

1. ロードマップ

① 生体検査を受け健康づくりの戦略を立てること

 巷には様々な健康法が存在していますが、その全てが自分にとって必要とは限りません。遺伝的な要因や生活習慣は人それぞれなので、必要な栄養素を例に考えてみても、自分が世間一般とは異なる部分もあるかもしれません。

 健康法を実際に取り入れてみて、自分にあっているかどうかを試すといったアプローチもありですが、主観的な感想になってしまうので自信が持てなかったりすることもあるかと思います。そこで近年発達している生体検査の技術を活用し、どの方法を選択するかを戦略的に選ぶことが重要になってきます。

② 科学的知見に基づいた手法を取り入れること

 ネットで検索すれば健康方法はたくさん出てきますが、その信憑性についてはよく考えなくてはなりません。どの食べ物が体に良いかなどは研究中の分野も多く、その気になれば肯定的な意見も否定的な意見も見つかってしまうことがあると思います。なので誰かの経験則といった曖昧なものなのか、科学で裏付けが取れているものなのかをチェックすることが必要です。

③ パフォーマンスを最適化すること

 健康法というと、今ある体調不良や病気の予防といったマイナスを0にするようなイメージが先行してしまいがちですが、本著ではそこからさらに飛躍して、マイナスからプラスに、人生そのものの質を向上させる目的意識を持つことが大切であるとされています。

 ハウツー本などでは②がメインに書かれていることが多いような気がしますが、その前後の「戦略」や「人生の質の向上」といった部分にまで目が向けられているのが本著の特徴だと思います。このように自分の体と目的意識にあった健康法を取り入れるという心持ちで、具体的なバイオハックを眺めてみてください。

2. 実践のポイント

 具体的なバイオハックに入る前に、バイオハック実践におけるポイントをご紹介します。大切なのはバイオハックの実践によって、生活の質が実際に改善するかどうかなので、以下の3つのポイントをまず最初にご確認いただけたらと思います。

① 3週間は続けてみること

 バイオハックは食習慣や運動習慣といった、ライフスタイルを改善していくものが多いので、やれば次の日すぐ健康を実感する!といった短期的に成果が出るものではありません。なのである程度の期間継続的に取り組むことが必要になります。

 著者は「元は野菜中心の食生活は苦手だったが、続けるうちに野菜の自然な甘みなどがわかるようになった」と述べています。一方で「糖質カットを実践したところ最初は調子が良かったが、次第に明らかにパワー不足になった。私に糖質カットは向いておらず、それは遺伝子検査でも裏付けられた」と話しています。自分に合った習慣を無理なく続けるという意味でも、ちょっとずつでいいので継続的に実践することが大切ということです。

② ストレスなく続けること

 どの方法でも100%実践しようと思うとストレスになってしまいます。ストレスは細胞の老化を早め、健康寿命を妨げる一大要因です。①で述べたように継続することが最も大切なので、最初は50%からでもいいし、最終的に目指すのも80%程度で良い、それぐらいのつもりで実践していくことが大切です。。

③ メリットとデメリットを天秤にかけること

 体に良いと言われる食材あるあるだと思いますが、食べ物にはメリットとデメリットの両方が存在することが多くあります。なので、デメリットを見れば避けるべきでも、そのデメリットを上回るメリットがあるものは、摂取量などに気をつけながらも食べると言うバランス感覚が必要です。

 例えば、大豆に含まれるイソフラボンは、更年期障害の予防に効果があるそうですが、過剰に摂取すると子宮がんや卵巣がんといった婦人科系の深刻な疾病を引き起こす恐れがあるとのことです。このことを受けて、「大豆を一切食べないのではなく、メリットがさらに増している納豆を食べる」といった判断を自分なりにすることができるとなお良いです。

 これは個人的にとてもハッとさせられた部分でした。健康に関する本を最近はよく読んでいたのですが、ある本ではこの食材が健康に良いと書かれている一方で、別の本では同じ食材が体に悪いと書いてあることがよくありました。初めはまだ研究途上の部分なのかなと思っていましたが、よくよく掘り下げてみると、着目している疾病のジャンルが違ったり、同じ食物でも着目している栄養素が違ったりしていることがわかりました。最初から「この食材は、この病気のリスクを下げて、この病気のリスクをあげるから私は1日に〇〇g摂取しよう」なんて考えてはいられないので、バイオハックを実践していく中で自分に合っていてよく食べる食材が見つかった時には、軽く調べてみる程度が良いのかもしれません。

“健康寿命を決定づけるテロメア”の敵

 この後に紹介するバイオハックについて、ざっくりいってしまうと「細胞の健康」を目指していることになります。細胞に含まれる「染色体」の末端部分にあるのが「テロメア」です。テロメアの機能が何らかの理由で損われると、テロメアが守っている遺伝子にも支障が起こります。つまり、テロメアの健全度が全身の健康度や老化スピード、寿命の長さにまで影響するということです。ではテロメアの機能が損なわれる理由とは具体的に何なのでしょうか。

 上記のように「血糖値」や「活性酸素」がテロメアにとって悪い影響を与えています。以下のバイオハックでは、この血糖値の急上昇や活性酸素を抑制する方法を中心に紹介していきます。

3. 具体的なバイオハック

 本著では具体的なバイオハックが4つのジャンルで全45個紹介されています。ここでは個人的に気になったものをいくつか抜粋してご紹介します。

#1 生体検査

 特に「遺伝子検査」は"生まれ持った体の特性を調べる"という観点なので、どの食習慣が自分に合っているのかを知ることで、実生活に反映しやすいものかと思います。本著では、Googleの出資会社が提供している「23andMe」とGeneLifeの「Genesis2.0」が紹介されています。「23andMe」は日本は購入対象地域から外れているようですが「Genesis2.0」は日本でも受けることができます。

遺伝子検査のジーンライフ
GeneLifeは、手軽にできる遺伝子検査で、あなたの体質や特徴が分かります。癌や生活習慣病など多くの遺伝子を解析し、健康や体質改善などに役立たせることができます。唾液を検査キットで送るだけの遺伝子検査をぜひご活用ください。

 結構高額なので、かなり健康意識が高めの人向けな印象ですが、人生100年時代に健康が数万円で買えるのであれば割りにあっているのかも知れません。著者も、この検査をしていなかったら「なんだかパワー不足だな」と思いながらも「自分にはある程度炭水化物が必要だ」と気づくのはもっと遅かっただろうと述べています。

食生活

 食習慣は生活に取り入れやすい反面、自制が難しい分野かと思います。本書でも100%を目指さずに無理なく続けることや、代替品をうまく取り入れるといったアプローチが推奨されています。

 私自身も今でこそ健康オタクに片足を突っ込んでいますが、学生時代は週5でラーメンを食べ、菓子パンやドーナツが好物と、今思えば恐ろしい食生活をしていました。当初は、大好きなチョコファッションを辞めるなんて無理だろうなと思っていましたが、少しずつ食べる頻度を落としていくのは意外とすぐに実践でき、かつスイーツのありがたみが増した様な気もしました。今ではラーメンも菓子パンもドーナツも年に数えるくらいしか食べませんが、一番効いたのは健康的な食生活に関する知識をたくさん吸収することでした。知識が増えると自然とそういった体に悪い食品との距離が生まれてくるはずです。

#3 日常習慣

 日常習慣の改善にあたって最も効果的だが、実践が難しいのは「熟睡習慣」の「デジタルデバイスをベッドに持ち込まない」ことだと思っています。私も夜なかなか寝付けずスマホでYoutubeを見始めてしまい、一層就寝時刻が遅くなるというダメダメ習慣を持っていました。寝る前1〜2時間はスマホを使わないようにすると言われても、現代人のスマホ依存度からすると結構無理難題なのが現実です。

 個人的な実践方法としては、寝る前は紙の本もしくはブルーライトを発さないkindle端末で読書をする様にしています。特に毎日同じ行動をすることで、読書の後は睡眠と体が覚えていき、寝付きがとてもよくなりました。

 スタンディングデスクとヘルスケアデバイスはどちらも導入していて非常におすすめです。デスクは今流行りの「FlexiSpot」を使用しています。足が疲れて続かないかなと思っていましたが、しんどいのは初めの数日間だけで、今では休憩中以外ほとんど座らずに仕事をしています。

 ヘルスケアデバイスはシンプルで睡眠記録と心拍数の測定ができるものが欲しかったので、「Fitbit」の「InspireHR」を使用しています。「Apple Watch」にしなかったのは高機能になると、本書でも紹介されている「デジタルデトックス」から遠のくなと感じたことと、値段がお手頃で合わないなと感じた時に辞めやすいからです(結果として半年以上愛用していますが)。睡眠記録をアプリで確認すると、飲酒した日の睡眠の質が悪かったりと精度もしっかりしています。また心拍数が測れるのでこれを筋トレ時の負荷の目安としています。

#4 医療

 本書ではサプリメントの摂取を推奨している一方で、手軽にサプリメントが入手できるデメリットも挙げています。質が担保されない、誤った飲み方をすると過剰症になるなどです。昨今は個人で判断が付けられないほど多種多様なサプリメントで溢れているので、生体検査を受けた上で本当に必要だと思ったものを、専門医の指導に従った上で摂取するのが望ましいです。

感想

 健康習慣自体は他の書籍などでかなり調べている方ですが、本著のように個人に合わせた健康習慣を模索するといったアプローチを提唱しているのは、やや新鮮で学びになりました。私は凝り性で、健康習慣においても100点を目指しがちですが、著者が何度も述べていた、無理なく続けることが大切という言葉を忘れずに、少しずつ生活を改善し続けていきたいと思います。今回は45のバイオハックの一部しか紹介できていないので、興味をお持ちいただけましたらぜひご一読ください!

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