ベスト・パートナーになるために

おすすめ本

 今回紹介する本は、ジョン・グレイさんが書かれた、「ベスト・パートナーになるために ー男は火星から、女は金星からやってきた」です。著者は、世界的な心理学者で、本著は1992年に発売されて以来、全世界で発行部数5000万部を超えるベストセラーとなっています。今読もうと思うと、結構古い本だなと感じてしまいますが、テーマがテーマだけに、普遍的な内容が多く、現代もなお売れ続けているのが納得の名著でした。

1.背景

 男女間では考え方が根本的に異なり、男性は相手の話を聞き終える前に解決策を話したがるなど、断片的なものは広く知られていると思いますが、本著のように体系的に解説されると、より一貫的な接し方ができるようになると思います。もちろんあくまで傾向の話なので、万人に当てはまるわけではないのですが、友人関係にも適用できることを考えれば、知っておいて損はないはずです。各々の個性や考え方を理解した上で、適切な行動を起こせるのがベストかと思いますが、知っているだけでも、比較的穏やかな気持ちで相手のことを受け入れられると思います。

2.内容

#1 相手に求めるモノ

♂ 男性

 自分の助力が、相手に肯定的な影響を何も与えていないと感じると、その人間関係や生活を続けられなくなる。 自分が必要とされていないことは、ゆっくりとしたペースで死んでいくようなもの。

♀ 女性

 自分が面倒を見てあげる必要もなく、ただ自分のことだけを気にかけてくれ、精神的な支えになってくれるような相手が現れるのを望んでいる。

#2 相手に対するアプローチ

♂ 男性

 女性が悩みや心配事を抱えているときに、”調停屋”になろうとする。そして、独善的な問題の解決策を押し付け、彼女の気持ちを変えようとする。しかし、それは彼女の感情を全くないがしろにすることになり、少しも歓迎されない。

女性から男性への典型的な不満 ▶︎ 『 私の言うことをちっとも聞いてくれない 』

「私が本当に言いたいと思っていることを、完全に理解してくれているとは思えないわ。あなたは、私がどんな思いでいるのかなんて、少しも気にかけてくれない。お願いだから私の心を理解しようとする態度を見せて。」

♀ 女性

 男性が何か誤りを犯した時、”教育委員長”になろうとする。頼まれもしないのに余計なアドバイスや批判をして彼の行動を変えようとする。しかし、それは男性の自立心や誇りをいたく傷つけることとなり、かえって反発を呼ぶだけの結果に終わる。

男性から女性への典型的な不満 ▶︎ 『 相手が絶えず自分を変えて行こうとしている 』

「確かに今は問題を抱え込んでいるが、自分1人で解決できることだ。誰の助けもいらない。だから、1人にしておいてほしい。余計な心配をせずに放っておいてくれないか。僕1人の力でピンチを打開していけると信じてもらいたい。」

#3 ストレスへの対処法

♂ 男性

 ストレスが溜まると自分の心の穴の中に引きこもり、問題を解決することに全神経を集中する。そして、そのたった1つの問題の解決に専念するために、他の事は一時的に全て忘れ去ってしまう。

 しばし、そのことを忘れるために新聞を読んだり、テレビを見たり、車を運転したり、運動をしたり、サッカーや野球の試合を観戦したりする。このような活動的な気晴らし作戦は、はじめのうちは彼の心の5%程度を占めるだけだが、次第に問題を忘れ、頭と心を解放する手助けをしてくれる。

♀ 女性

 ストレスの原因を他人と分かち合う。女性にとって、自分の問題を他人と分かち合う事は、決して相手に負担をかけることではなく、愛情と信頼の印なのだ。女性は問題に巻き込まれ、悩んだり苦しんだりすることを少しも恥と考えないからである。

#4 相手の評価方法

♂ 男性

 男性は、小さなことをしてあげれば1点。大きなことをしてあげれば30点と勝手に計算する。彼は、女性が全く違った採点基準を持っていることを知らないために、自分がエネルギーを1つか2つの大きなプレゼントに集中させる。

 たとえ彼が相手の女性に対して愛情を感じなくなっていたとしても、彼は彼女のために愛情深い何かをすることだろう。もし、彼の申し出が相手から受け入れられ、感謝されたりでもすれば、彼は再び彼女に愛情を感じるだろう。男性は”行動”を通じて愛情を活発に始動させるからである。
だから、男性は”愛情”ある行動を優先させる必要がある。そうすることで女性の心を開かせると同時に、自分の心をも、より多くの愛情を感じられるように大きく開かれていく。男性の心は、相手の女性を満足させることによって開いていくのである。

⬇︎

女性目線から男性を満足させる秘訣は”フィーリング”を通して「愛情を表現すること」

♀ 女性

 女性は、男性の採点をするときに、贈り物の大小にかかわらず、1つの事は1点として評価する。一つ一つのプレゼントやちょっとした心遣いが、ほぼ同じ価値を持っている。女性にとって1輪のバラをもらうのも、高価なジュエリーをもらうのも、自分を気にかけてくれている証拠だと考えるのである。

 一般的に女性は、相手から気にかけられず、理解も尊重されていないと感じると、相手に愛情を感じるようなことはまずありえない。したがって女性は”愛する姿勢とフィーリング”を優先させる必要がある。そうすることによって彼の愛情を求める気持ちを充足させてあげることができるからだ。彼女が最愛の男性に対して愛する姿勢とフィーリングを上手に表現できれば、彼はより多くのものを彼女に与えようとする強い欲求に駆り立てられるようになる。これはまた、彼女の心をより広く開かせていく。

⬇︎

男性目線から女性を満足させる秘訣は”行動”を通して「愛情を表現すること」

#5 心理的背景

 私たちは激しい恋愛感情を持つと、自動的に抑圧感が湧いてきて、一時的に愛の感覚が曇り、憂鬱な気分になる。そうすると、突然イライラし始め、自己防衛的になって相手に対して批判的な目を向けるようになる。相手の心が信じられなくなって憤りを募らせ、要求したいことがたくさん出てきて、ついには怒りを爆発させてしまったりする。

春ー  理想とする異性を見初め、熱い恋心が芽生え、そして望み通りにその相手と恋に落ちることができた時、それがあなたの愛の季節の始まり、つまり、春である。私たちは、あたかもその幸せが永遠に続くかのように感じる。その相手を愛さなくなってしまうことがあるなど想像もできない。この季節は、まさに純粋無垢な時代なのである。(・・・)自分にとってその相手こそが、赤い糸で結ばれた唯一無二の掛け替えのない存在であると固く信じることができる。

夏ー  やがて、2人の愛情生活にも確実に夏の季節が訪れてくる。この頃になると、相手が自分が思っていたほど完璧な相手ではなかったことを認識するようになるのだ。関係を良好に保っていくためには、それなりの努力をしていかなければならなくなってくる。(・・・)この時点まで到達した多くのカップルは、お互いに幻滅を感じるようになっている。彼らは、自分たちの関係に何らかの働きかけをすることを好まない。1年中、春でいられるようにと非現実的な期待感を抱いている。(・・・)この時期には、私たちはパートナーが必要としていることを認識、理解し、その線に沿って自分の方から何らかの形で働きかければならない。と同時に、自分の方からも相手に望みたい事は、きちんと伝えるようにする。

秋ー  夏の間に念入りな手入れを加えた結果、私たちは自分の重労働の成果を収穫することができる。こうして秋の季節がやってくる。この時期は、まさにゴールデンタイムである。全てが充実し、生活も心豊かに送ることができる。私たちはより成熟した愛情の交換を経験できるようになる。お互いの欠点や失敗を認め、理解しあうことが可能である。お互いに愛情を素直にさらけ出し、感謝しあえる時間である。イソップ物語の”アリとキリギリス”の話ではないが、真夏の間に一生懸命に汗を流して努力を重ねていれば、自分たちで育てあげた愛の果実の甘い味覚を心の底から楽しめるようになるのである。

冬ー  やがてまた確実に季節は巡っていく。寒さが厳しく不毛な数カ月間の間に、私たちは十分に休息し、充電し、新しく自分を生まれ変わらせる必要がある。そういう時間が、愛情生活の中における冬の季節なのである。この時期、私たちは否定的な感情にとらわれ、それが相手との愛情関係にも大いにマイナス効果を与えてしまう。(・・・)したがって、この季節は相手のことに関してより、むしろ自分自身のことに関してあれこれじっくりと見つめ直し、考えていく必要がある。(・・・)私たち自身の心の内側における自己治癒と厳しい魂探しの旅の成果に基づいて、私たちは自分の心を大きく開いて愛情の春を再び迎えることが可能になるのである。

 愛情と言うものが四季のごとく周期的に移り変わっていくものであることを覚えておこう。春の間は実に楽しく、全てが思い通りに運んでいく。何の苦労も必要ない。その生活が永遠に続いていくと確信できる。ただ夏になると思いもよらなかったような厳しい仕事が待ち受けている。その時期を乗り越えればあなたはより充実感と満足感を得ることができるのである。豊穣の秋を謳歌できるのである。だが、やがて冬が必ずやってきてあなたの心を空虚なものとする。

だが、これらの感情の変化は、すべて1つのサイクルの1部に過ぎないのである

3. 感想

 読み終えてみると、サブタイトルに「男は火星から、女は金星からやってきた」とあるのがしっくりくる程、男女間の考え方の傾向の違いがはっきりしているのが印象的でした。その違いも、対極と呼んでいいのではないかと思うほどです。それでいて、現代にこれだけの男女が結婚をしているというのは、なかなか凄いことなのではと思えてきます。

 この本で紹介されている内容を、全て実行できるかどうかは別問題ですが、男女間の考え方の違い然り、愛情のサイクル然り、知っているだけでも、パートナーとの食い違いが起きた時に、「生まれた星が違うのだった」と気持ち客観的になれるのではないでしょうか。

 また、本著ではパートナーを基準に解説されていますが、男女間の友人関係を円滑に進めるためにも活用できるのではないかと思います。逆に、大切にしたくない人間関係においては、本著の内容の逆を実践するといったアプローチもありなのかなと思いました。

 本著の中では今回触れなかった、男女のそれぞれの立場からの実際の発言と、その発言の意訳が豊富に掲載されており、こんな真意があるのか!?と楽しめると思います。是非ご一読ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました